2006/8/9
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黒瀬の海(笠沙)

茫洋と トルコブルーの 秋の航

は じ め に

趣味を同じくする友人15人で南薩摩( 薩摩半島の西南端)へ日帰りの旅をした。

町村合併で、現在は南さつま市となった地域である。

南さつま市は、旧加世田市・金峰町・大浦町・笠沙町・坊津町から成る。

今回は笠沙と坊津の一部を訪ねた。

本来は目的がある旅のはずであったが、食べることが主になってしまった。

マイクロバスで移動し、ほぼ終日の行程であった。


南さつま (笠沙、坊津へ)

89日、マイクロバスは、15人を乗せ10時過ぎ鹿児島中央駅西口を出発した。

武岡トンネルを潜って、高速に乗ったので、車窓から見る景色は変り映えがしない。デジカメは握っているが、撮るような場面もなく、時間の経過を待っているばかりのようで退屈していた。

1時間ほどしたら見覚えのある「サンセットブリッジ」の一部が見えてきた。
この橋は、万之瀬川河口に架けられ、旧加世田市と旧金峰町を結ぶ。

日本三大砂丘の一つ、吹上浜の白砂青松の美しい海岸線沿いを縦断するサイクリングロードとしても知られている。ここは絶好のビューポイントでもある。この橋から眺める東シナ海の落陽は息をのむほど美しくと聞く。一度は夕陽に映える橋の上に立ってみたい!
近くに自然公園の「吹上浜海浜公園」もある。

田園風景が広がってきた。金峰町は県本土で日本一早く収穫される「金峰コシヒカリ」の産地である。稲刈り後
一面、刈り取られたばかりの稲の切り株跡ばかりである。

南薩地方は、改めて稲作地帯であることを実感した。そう言えば大浦には干拓地があった。一帯も稲刈りが済んだばかりの田んぼばかりである。稲刈り後の田を焼いている煙も見える。

薩摩半島の西南端まで来ると往復時間も要する。九州西南端のリアス式海岸の織りなす雄大な景観美は見事である。見るべき観光名所が多い。2箇所だけ見学した。

入り込んだリアス式海岸は移動が大変である。時間をかけてドライブすれば素晴らしい景観と自然に出会えそうな気がする。

サンセットを眺めてみたい!!

もっと交通の便がよければ度々訪ねてみたいところである。


見学した2箇所について簡単に記そう。

1.笠沙美術館 (黒瀬展望ミュージアム)

笠沙黒瀬の海に面した高台にある。平成104月にオープンした美術館。

美術館

黒瀬出身の画家、「黒瀬道則」のトリックアートが常設展示されている。私は知らなかった。国内外で色々な賞(スペイン・バルセロナ国際展入賞、ビエンナーレ展、日仏現代美術展入賞他)を取り、活躍している著名な画家であることを初めて知った。ここから美しいリアス式海岸と紺碧の海の風景、目の前に浮かぶ沖秋目島(通称・ビロウ島)を眼下に見ることができる。

バルコニーに立つと、視界も全開、目の前にトルコブルーの東シナ海が広がる。波の襞、遠くの潮目も、海の色の違いもわかる。只、長閑な時の流れがあるのみ!!
館から望む東シナ海や複雑な岩場など美しい眺望も作品のひとつのように感じる。

笠沙の黒瀬は杜氏の多いところとしても知られている。

焼酎醸造の技術を伝承し各地に赴いて活躍、黒瀬杜氏と呼ばれる。技術を受け継いだ黒瀬杜氏は、現在でも各地で焼酎造りに携わっている。

笠沙美術館の道路向かいに「杜氏の里」がある。

黒瀬杜氏の伝統技術を文化的遺産として保存・継承し、焼酎を通して文化やこころ、技を広く伝え、伝統技術を後世に残すためにつくられた。

世界の蒸留酒(焼酎)や酒器など焼酎・杜氏に関するものを展示、工場見学、試飲や製造直売も行っている。

今回は見学しなかったが、焼酎好きの人にとっては堪らないでしょうね。

2.坊津町歴史資料センター「輝津館」

日本三津(日本の3つの主要港)1つとして、国内外にその名を誇った坊津。

日本本土の南玄関口に位置する対外要港として歴史を刻み、港を彩るリアス式海岸の自然美は、古くよりこの地を訪れる人の目を魅了してきた。

「輝津館」は、坊津の長い歴史を背景に、広く住民に呼びかけ、寄贈、寄託の形で収集した貴重な資料を収蔵及び展示している。

主な展示品は、国指定重要文化財の「絹本著色八相涅槃図(けんぽんちゃくしょくはっそうねはんず)」(レプリカ)をはじめ、明の時代に渡来した青磁や白磁、坊津の歴史・民俗文化資料など。かつて中国や南方諸国との貿易で栄えていた坊津の様子をうかがい知ることができる。

涅槃図

珍しい展示に坊津の地図があった。リアス式の海岸線が拡大され、綿密に画かれている。伊能忠敬が日本地図を作成した以前のもので、精度の高い地図であるという。

一帯は史跡も多い。鑑真記念館及び上陸記念碑、一乗院跡、唐人町跡・唐人墓など。

昼食は、大浦町の「遊浜館」で海の幸を存分に堪能した。地場産の新米で炊いた御飯が供された。新鮮なお刺身、かんぱちのあら炊きとよく合う。

戻りは枕崎の「お魚センター」に寄った。 変わり身も早く“今夜のおかずは何にしよう”と海産物を調達する姿は主婦感覚に戻っていた。

県内の陸続きとはいえ、南薩の坊津・笠沙は距離があり遠い。往復時間を要する。

然し、景色は素晴らしい海岸線に恵まれ魅了される。史跡も多い所である。

次回は、宿泊して自分の足で心ゆくまで散策してみたい!!

2006.8.13記

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