2005/11/16〜11/18
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京都は日本の古都として外国の人にも人気がある。17の社寺と城がユネスコの「世界文化遺産」に登録されている。

日本人でありながら、旅好きでありながら、殆ど訪ねていない。
次女が関西の大学に在学の頃、卒業式に行くついでに京都観光をしようと計画していた。ところが夫の転勤と重なり実現しないままであった。40数年前に高校の修学旅行で訪ねている。セピア色した写真が残っているが、記憶も薄くなり確かなことを思い出せない。


今回の旅は同窓会となっているが、イベントや会合があるわけではない。旅を楽しむことが主目的の気楽な同窓会旅行である。2泊3日の秋の京都旅行を楽しんだ。
昭和35年鹿児島県立短期大学(家政科・生活科学専攻)を卒業した同窓生である。女性ばかり30名足らずで小じんまりしている同窓生で、4人は故人となっている。皆、関東以西に住んでいる。卒業した35年次に因んで「珊瑚の会」と名付けている。

還暦同窓会の時から、5年周期では間遠になるからと、隔年毎に集まるようになった。
毎回開催場所も違う。今回は9人の参加で最も少なかった。体調不良、親の介護などで自由にならない事情もある。

わたしも術後2ヶ月余り、参加を危ぶんだ。それより何より京都に行きたい気持ちが逸り、ドクターの許可も得られ、体調も回復して参加できた。嬉しく幸せなことである。

各地から京都駅近くの京阪ホテルのロビーに参集した。

数年ぶりでも、遠目であってもすぐ名前が浮かんで確認できる。今回は卒業以来殆ど会っていないMさんも参加と聞いて楽しみにしていた。京都近くの住まいでもあるので間違いなく再会できると思っていた。ところが体調不良(更年期障害)で不参加になったと聞き皆残念に思った。「この年になっても更年期障害ってあるの?」というおもいがして、いい機会を逃し、期待していただけにちょっとがっかりした。矢張り寂しい。

後で皆の回答のはがきを見た。“京都は住まいも近く皆さんのお役に立つことができるかもしれません”と書いてあった。なお更に会えない悔しさが歯痒い。

女性だけの同窓会、時はタイムスリップして、旧姓まじりの会話が飛び交う。久しぶりの邂逅で、とりとめのないお喋りは尽きることがない。遠慮の要らない仲間で、人数が少ない分、話し声も届き、話題も弾む。

気力、口だけは達者、老いの自覚などどこ吹く風で威勢だけはいい。体力、記憶力は、間違いなく下降線である。健康が一番!!元気であればこそ参加でき皆にも会える。

栄養士の勉強をした仲間である。調理実習や病院実習もして、食生活への関心は深い。食事への配慮も満足するものであった。

1日目は和風の宿で、夕食は秋の京料理を堪能した。目で楽しみ舌で味わい日本料理の真髄に触れたおもいであった。秋の彩が盛られた「秋の吹き寄せ」は見るからに美しい。食器にも季節感がこめられていた。料理は薄味だが、「出し」でしっかり味付けされており、上品で風格のある味わいである。吸い物、煮物は加減の良い味付けで、その風味は絶品であった。古都京都には季節感溢れる日本料理が一番似合っている。

2日目は祇園近くに位置するホテルに泊まった。この会は2泊3日と決まっているが、同じ宿に連泊することなく、和・洋と趣の違う宿にする。部屋割りも毎日くじ引きして同室者が変わっていく。これも恒例となっている。和室の時は4〜5人部屋を使う。一堂に会しやすい。

当番幹事2人(横浜・埼玉在住)の綿密な計画のもとに実現した京都同窓会である。事前に“自分たちも楽しみたかったの”と京都まで下見旅行もしもらってていた。ありがたいことである。

次回は2年後の5月、韓国(福岡に集合して出発)に決まった。鹿児島の3人が当番幹事で、私もその中の1人になった。


帰りは伊丹発17時の便に搭乗した。

関西へ行く機会が少なく、大阪へは10数年ぶりのフライトである。(3月の甥の結婚式では新幹線を乗り継いで上阪している。)乗りなれた東京便とはルート(航路)も違い当然ながら機上からの景色も違っている。

3日間かなり歩いた。帰りの機内では心地よい疲れを休めようと思っていた。

飛び立って15分ぐらいしたら一面雲のじゅうたんである。
高度が低いのか、切れ間から地上の灯りも見える。

やがて雲の端に薄い夕陽の色がほんのり一筋の線を引いてきた。色の帯が太くなったり細くなったりして空との際はグラデーションを呈している。機上から見るサンセットである。
夕陽の色は刻一刻微妙に変化していく。よく「夕陽が西の空を茜色に染める」と表するが、それもしっくりとしない。オレンジ色は少なく、茜色?否、淡い赤紫に近い色相である。あの濃淡の色合いを表現する言葉が浮かばない。雲、夕陽の帯、青空の3層の自然現象に吸い込まれるように見蕩れていた。魅了された。

すぐに消えると思って眺めていた。時おり、時計を見遣った。なんと着陸態勢に入り機首の向きを変える直前まで30分以上にわたって続いた。国内線では初めて遭遇した。神秘的で印象に残る光景であった。

2年前ロシア上空で夕陽を見た時の感動を思い出していた。

心ゆくまで語った。
色とりどりの紅葉、秋の京料理、帰路の機上で見たサンセット、秋の彩りに充ちた京路の同窓会であった。
2年後の集まりを約し、京都駅で別れ、それぞれの帰路へついた。


紅葉は見る位置によって趣が変わってくる。目線で見ると一葉の形までわかる。

下から見る。逆光の木洩れ日越しに見る紅葉は眩しい。陽光に翳された所は黄金色、橙色、真紅とキラキラ輝いて錦織りなす色である。地表には、落葉した紅葉の陽だまりをつくっている。

高い所からは、
色とりどりの紅葉の塊が色相をなしている。その遠景は遠山に連なり日本の四季を強く意識する。和服の留袖や訪問着に見る絵柄を思い出す。日本の四季折々の風景は日本人の感性に合っている。特に秋はもの想う時である。風と感傷が体の中を通り抜けていく。


京都はよく知られた所で、情報も多く、本・ガイドブックに詳しい。

観光したところを短く書いてみよう


清水寺

次女が大阪の大学在学中に一度一緒に来ている。その時高台寺近くで普茶料理を食べた記憶がある。
普茶料理
隠元禅師が中国から伝えた精進料理。
普茶とは、普(あまね)く多数の人にお茶を差し上げるという意味で、お寺の行事について協議や打ち合わせの時に、茶礼という儀式を行い、その後の謝茶(慰労会)に出だされる中国風精進料理のこと。
新鮮な材料、季節の野菜を使い、高蛋白、低カロリーの料理。

南禅寺

急勾配の山門に上がった。周りの山は色とりどりの紅葉に染まり錦色に輝いている。ここから眺める紅葉は、石川五右衛門の名セリフ「絶景かな」そのものであった。
三門は一般に山門と書かれるが、正しくは三門と書く。
三門は空門・無相門・無願門の意味で仏教修行の三解脱をあらわす。
南禅寺の三門は天下竜門と号し、上層の楼を五鳳楼という。日本三大門の一つで有名である。
入母屋造り、本瓦葺、五間三戸の純然たる禅宗式三門の形式を備えている。

高台寺

豊臣秀吉の正妻・ねねが1606年に建立した寺院。絢爛豪華な桃山文化の面影を残す遺構と真紅のカエデが作り出す情景は世界でも名高い。夜の特別拝観では、池のほとりの「開山堂」と紅葉が水面に映り、より幻想的な世界になるという。
京都に着くなり清水寺、南禅寺、高台寺とかなり歩いた。宿から近かったが残念ながら夜は出かけなかった。

「掌美術館」
高台寺が所有する寺宝、ねねの愛用品が展示されており、蒔絵の調度品は見事である。
ねねは76歳で没しているが、秀吉25歳、ねね14歳で結婚している。現在の晩婚を思うと時代の違いとはいえ早婚である。

銀閣寺

銀閣寺(慈照寺)の枯山水、池泉回遊式の庭園は東山文化遺産である。雅趣に富んだ庭である。展望所からの眺めは紅葉に染まって見事である。世界遺産になっている。修学旅行生らしい学生、外人の観光客も多い。

大徳寺

大仙院へ入った。禅宗の臨済宗大徳寺派のお寺である。枯山水の名園があり、和尚の話術が面白い。廊下に立って、「ここからは国宝です。皆さんは国宝の上に立っているのです。」思わず足を引っ込めてしまった。

京都は禅宗のお寺が多い。それも臨済宗である。我が家は禅宗でも曹洞宗である。
無心論者に近く禅宗にも無頓着であった。これを期にすこし禅宗について知ることにしたい。

金閣寺

前日アメリカのブッシュ大統領が訪れている。そのせいか寺の金色もひと際ぴかぴかに光っているように感じる。観光客も多い。きれいに整備されている。専用入り口も設けてあった。池越しにガラス戸に仏像が納められているのが判る。
「夕佳亭」ではお茶会も開かれていた

ここは数寄屋造りの茶席で、夕陽に映える金閣がことに佳いと言うことから「夕佳亭」(せっかてい)と名づけられた。
鏡湖池を浮かぶ舎利殿金閣を背景にした写真撮影は混み合ってなかなかである。

嵐山

古い記憶と違い堰も増えているように感じた。鷺が飛来していたが夕闇の中へゆっくり消えていった。近くの天龍寺に行く時間がなく残念であった。

二条城

徳川家康の命により慶長8年(1603年)に築城され、三代将軍家光のとき増築された。昭和14年京都市に下賜された。正門は東大手門と呼ばれ、城内には大書院建築の二の丸御殿と、内濠に囲まれた本丸御殿がある。二の丸御殿はすべて国宝建造物。二の丸庭園は小掘遠州の作庭といわれる。
現在の本丸御殿は京都御所内にあった旧桂宮御殿を移したものである。

ガイドも言っていたが、比較的観光客の少ない日であったらしくゆっくりと見学できた。

東福寺

紅葉の名所として有名。通天橋を背にした紅葉は赤く燃え見事であった。




   〜清水寺〜

京都を代表する観光名所。
老若男女、外国人と観光客が多い。
「清水の舞台」からは京都市内が一望できる。
南禅寺
山門からの眺めと紅葉

ここの山門からの眺めと紅葉ははまさに「絶景かな」のとおりであった。
   〜銀閣寺垣〜

総門から中庭にいたる参道の左右に設けられた長さ50メートルの生垣。
〜銀閣寺〜
銀閣寺は俗称で、正しくは東山慈照寺。
臨済宗相国寺(しょうこくじ)に属する禅寺である。
〜金閣寺〜

鏡湖池を背に建つ金閣寺は水面に映る姿も美しい
〜秋の京料理〜

「秋の吹き寄せ」
季節感があって彩りもきれい。
揚げ物

九条ねぎ1本がいかにも京都らしい趣がある。
桜の塩漬けと柴漬けのみじん切りは風味があって優しい味わいである。お腹にも優しい。

  
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