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今回の霧島の旅は息子からの誘いが端緒であった。 今年の元旦に、年賀挨拶の電話をくれた時に、 「お正月には帰省できないけれど年が明けてから帰るようにするから」と。 楽しみに待っていたら、2月末(2/24〜26)に2泊3日の予定で夫婦揃って帰省するとメールが来た。こちらの都合を聞き、一緒に温泉に行こうと霧島・妙見の「石原荘」を予約してくれた。帰省と旅も一緒に出来るうれしい知らせである。 3年前に結婚した息子夫婦とは初めて寝食を共にする旅である。温泉に入りのんびりと寛ぎ、美味しい料理を楽しむことがねらいの旅となった。 東京から息子夫婦、鹿児島から私たち夫婦が、2月24日に午後、宿で落ち合うことになった。鹿児島に住んでいるがこの宿には初めて泊まる。以前から一度は泊まってみたいと思っていた宿「石原荘」である。 息子夫婦とは5ヶ月振りである。まるで天気を気にしながら遠足を待っている子供のようである。娘たちとは一緒に旅行する機会ある。成人してからの息子とは確と憶えがない。自分でもちょっと高揚していることがわかる。いい齢をして恥ずかしい。 妙見「石原荘」 ![]() 宿の案内にも、 ―霧島山系より流れ出る。天降川(あもり川)の渓流沿いに位置し、杉林と雑木に囲まれた旅館である。 心を癒すぬくもりの宿、妙見「石原荘」、つかず離れずのさりげない心遣いを提供する― と記してある。 日本情緒たっぷりの純和風の造りである。周辺には湯治場がある。 巷間では料理が美味しい宿と評判である。天降川渓流の鮎はよく知られている。 妙見の地名の由来は、明治時代に妙見神社跡から湯が湧き、その名が付けられた。天降川沿いの新川渓谷に点在し、一帯を「妙見温泉」と呼ぶ。 昨年11月に町村合併して、行政上では姶良郡隼人町から霧島市は隼人町になっている。 窓 か ら 館内のあちこちに野の花が飾ってある。 部屋に案内された。親夫婦の部屋は「紫」、息子夫婦は隣接の「瑠璃」、どちらも民家風の部屋で8畳6畳の2間続きの和室である。 宿は川岸に沿って建っており、窓を開けると眼下に天降川が見える。新川渓谷を轟々と音を立てながら流れている。 ![]() 出窓に腰掛けた。川の対岸に民家風の宿、「雅叙園」が見える。川に面するところから、緩やかな坂に沿って、茅葺の屋根が数棟建っている。薄暗くなって裸電球のような灯りが点った。茅葺とその灯りは、辺りの自然に溶け込んで一体になっているようにみえる。 静かに夜の帳が下りていく。 昔の田舎の民家を想い出させるような光景である。 有名な2つの旅館「石原荘」と「雅叙園」は天降川を挟んで前向かいに在る。こんなに近い位置にあるとは・・・ 息子もどちらにするか迷ったという。それほど2つの宿は人気がある。 露天風呂 露天風呂は野趣に富んでいる。時間予約制で家族だけで入る。 妙見温泉のある新川渓谷では、川沿いに温泉が自然湧出している。 ![]() 風呂は天降川に接しており。浴槽から温泉の湯が直接川に溢れ出ている。天降川の渓流が真下に見える。川は傾斜のある流れであるが。大きな岩が転がるようにして点在している。そこへ川の流れがぶつかって、轟々と音を立てて、白い波頭を起てて下流へ押し流している。 急流を眺めながら、その轟音を聞きながら、周りの景色を独り占めしながら、露天風呂に浸かる。洗剤類は何一つない。川の汚染防止のためだろうか。 ![]() 屋根なし青空天井の浴槽は視界も全開! 心身の血管も全開! 絶景かな! 素晴らしい景観である。 開放感を満喫、癒しの湯である。 温泉は屋外と別棟にある。下駄を履いて、玄関を出て渡り廊下を伝っていく。銭湯に通った頃を思い出す。 ![]() 食事は別の部屋に家族だけの席が設けてあった。 お雛様の掛け軸が掛けてある。女の子のひな祭り、桃の節句も近い。 季節は春へと移っている。鹿児島は1月遅れの4月3日に祝うところが多い。 料理が美味しい宿と聞いているので楽しみにして席に着いた。 手書きのお品書きが添えてある。カットの絵柄はそれぞれ違っている。〜如月のおもてなし〜 1.食前酒 白酒 2.先 付 春ぬた和え…のびる、旬貝、辛子酢みそ 3.温 采 空や蒸し、野菜あん…玉子豆腐、蛤、百合根、新のり 4.春の天ぷら ふきのとう、空豆、山独活(うど)、筍、芽キャベツ…梅塩、国産レモン 5.造 里 寒ひらめ、皮はぎ…菜種、春キャベツ、花びら 6.煮物椀 酒粕仕立…大根、人参、寒鰤、湯ねぎ、柚子 7.おしのぎ 信田すし 8.炊合わせ 若竹煮、里芋がんも、蕗、木の芽 9.焼 物 和牛ロース竹筒焼…椎茸、芹、山葵(わさび)べっこうあん 10.替り鉢 雪見鍋、地鶏丸、舞茸、水菜 御飯 麦飯とろろ、香のもの 11.水菓子 たんかんシャーベット、
料理は一品ずつ運ばれた。 見た目にも美しい料理で、盛られた器も趣がある。すかさずデジカメを押し続けた。 春の季節を先取りした新鮮な食材が使われている。視覚と味覚で確かめながら箸を進めていった。 京会席を頂いているようである。薄味、上品な味わい、全部きれいに胃の中に納まった。 アルコールはとんと駄目な家族だが、いつもより饒舌になっている。 嫁の閑子さんも楽しそうに話の輪の中にいる。素直な明るい性格がうれしい。 偶然だがこの日は息子の誕生日でもある。親子で語らい食事を共にする。何年ぶりであろうか。 誕生した頃のことを想い出す。 息子が生まれた時は丁度県外主張中で不在であった。帰宅した夫に、手伝いに来ていた母はわざと女の子と伝えたらしい。すかさず長女が弟と言ったら、そのまま病院へすっ飛んできた。女の子2人のあとに生まれた男の子である。 あれから37年、素直に育ちよい伴侶にも恵まれ社会人として頑張っている。時の流れを想うと感慨深い。 よく食べ、よく喋り、満腹。満悦。 部屋に戻ると夫は倒れこむようにして爆睡してしまった。 朝食の御飯は小さな釜で炊いてある。おこげもあると聞いて息子は喜んでお代わりをしていた。 青竹に入った豆腐を掬って取り分けたが、大豆の味と香りが爽やかで、口の中に広がる。口当たりもよい。 おわりに 年をとってきたのだろうか、場所移動の多い旅はしんどいと思うようになっている。 行く先を絞って、ゆっくり、じっくり見物したいと思うようになってきた。 今回のように、 時間が停止したような山里の静かな温泉で一日中ゆっくりする。 昔ながらの佇まいが残る中で、旬の食材で、心入れを盛られた美味しい食事ができることは最高の幸せである。 くつろぎと静寂の時の流れの中に身を置く、この上ない優雅な贅沢である。 2組の夫婦(親夫婦、息子夫婦)一緒で、まさに癒しとくつろぎの至福のときを過ごすことができた。 息子夫婦も東京近辺の温泉に行っているようだが、今日の宿が一番良いという。食事も秀逸という。 翌25日午後、息子の運転で、鹿児島神宮、高千穂牧場を周って鹿児島市の我が家へ向かった。 2006.3.3記 TOPページへ このページのTOPへ |